山形県・肘折温泉
最上川から国道458号線に曲がり、クネクネとした山間に突然現れるのが「肘折温泉」です。平安時代に開湯され、木造建築の古い旅館や住宅が多く、鄙びた湯治場の雰囲気を形成しています。
「肘折」という名の由来には、肘を折った老僧がこの地のお湯(上の湯)に浸かったところたちまち傷が癒えたという説をはじめ、諸説が縁起として語り継がれています。
泉質によるそれぞれの効能は、ナトリウムー塩化物泉の高い保温効果と、ナトリウムー炭酸水素塩泉の古い角質を乳化して洗い流す効果に加え、炭酸ガスによる血管拡張効果により、切り傷、火傷、リュウマチ、神経痛、骨折等外傷、胃腸病、皮膚病など、その効能は多種多彩。各旅館や共同浴場は利用源泉によって、色や入浴感が微妙に違います。
春~秋の間、朝5時30分から、湯治客向けの朝市が行われています。肘折の朝市は大正6年に基本的な枠組みが作られ、当時は50人前後もの行商人が各旅館前に群集し、農産物や日用品を販売していたといいます。
3軒ある共同浴場のうち、ひとつを一般開放しているほか、旅館の日帰り温泉を利用することもできますが、できることなら宿泊して、丹前を羽織って雰囲気のよい街を散策してほしいですね。
肘折温泉でぜひ味わってほしいのが「板そば」です。山形県内陸部で広く食べられる蕎麦の一つで、昔大きな長い板や木箱にそばを盛り付け、農作等の共同作業や集会後に振舞ったのが由来とされています。
少し硬めの田舎そばで、噛めば噛むほど旨味が楽しめます。そばつゆは、だしで割った薄めの味付けであり、そば全体をそばつゆに漬けて食べるのが、山形そばの正しい食べ方とされています。
国道458号線をまっすぐ進めば寒河江に行くことができますが、肘折温泉から先は未舗装の山岳地帯になっており、道幅も狭いので引き返すことをお勧めします。ダートバイクでも厳しい道のりでしたので、走行する方は十分にご注意ください。