冬の後志エリア「道の駅ガチャピンズラリー」完全制覇の旅

北海道土産と聞いて何を思い浮かべますか。木彫りのクマ? コップに入ったマリモ?

それは昭和のオハナシ。令和の今は「道の駅限定ピンズ」が熱い!北海道のすべての「道の駅」に、案内板をミニチュア化したピンズガチャが設置されています。コンプリートするためには、127あるすべてに行かなければならないというハードさ。原子力文化財団(JAERO)の協力を得て、後志エリア内14箇所のピンズを集める一泊二日の旅に出ました。

コレクター魂を炊きつける道の駅ガチャピンズラリ―

「道の駅ピンズ」は、札幌のアカシヤ物産が企画・販売しています。「道の駅ではスタンプラリーを実施しているが、スタンプを押すことだけを目的に訪れるのであれば収益に繋がらない。しかしピンズを集めることをラリーにすれば、これまで集客が少なかった道の駅にも立ち寄るきっかけになるし、売り上げにも貢献できる」という同社社長のアイデアから商品化されました。

ガチャガチャは「道の駅ガチャピンズラリ―」と名づけられ、1回100円と言うリーズナブルな価格や「そこに行かなければ入手できない」というプレミアム感がコレクター魂に火を付けています。そのほかにも、国道の標識や市町村のキャラクターなどのピンズもあり、集めだすと底なし沼。今回は道の駅ガチャピンズラリ―を基本とし、その他は気に入ったものだけ購入しました。


第1チェックポイント「望羊中山」

記念すべきファースト・ガチャは「望羊中山」です。あと13回もレバーを回すのかと思うと気が遠くなりました。しかもハードな雪道を約500㎞も走らなくてはなりません。安全を考慮して「完全制覇」ではなく、「できるだけ集める」に企画を変更しました。

中山峠といえば「あげいも」が名物です。昭和43年生まれで、福山雅治や菊池桃子、井森美幸や、ワタシと同い年です。最初は売れ行きがパッとしなかったそうですが、バスのドライバーなどに試食してもらい、徐々に人気が広がりました。今や年間40万本も売れているそうです。シンプルで何故か峠を通るたびに食べてしまうんですよね~♪


第2チェックポイント「名水の郷きょうごく」

なんと、この日は定休日。「もしかしてピンズが手に入らない!?」と焦り、頭に「ガビーン」という音が鳴り響きました。結局、南極、放送局で玄関フードだけ開き、ピンズをゲットすることができました。

「道の駅」は、羊蹄山の伏流水が流れ出す「ふきだし公園」に隣接しています。つり橋を渡った向こう側に水汲み場があるので、ペットボトルを片手に行ってみました。数10年の歳月をかけて生まれるミネラルたっぷりの水は、料理や飲み物を美味しくします。「ネスカフェゴールドブレンド的な男」には違いが分かるらしいです。


第3チェックポイント「230ルスツ」

雪に覆われながらも、笑顔でイエーイのポーズを決める指圧名人・浪越徳治郎さんの銅像が哀愁を誘います。「哀愁でいと」は田原のトシちゃん、「トシちゃん感激」はマカロニほうれん草。このジョーク、わかるかなぁ、分かんねーだろうなぁ。

トイレに童謡「赤い靴」のワンシーンがデザインされています。この歌には厳しい留寿都の開拓に、幼い我が子を連れていくことができず、外国人宣教師の養子に出した娘を思う母親の気持ちが込められています。

その子は結核を患い、外国に渡ることなく東京の孤児院で亡くなりました。母はそれを知らずに娘が外国で幸せに暮らしていることを願い続けたとするお話です。村内には「赤い靴公園」があり、公園内のトイレには「赤い靴」の歌詞が掲げられています。

せめてトイレ以外の場所にしてあげて欲しかった...


第4チェックポイント「真狩フラワーセンター」

真狩フラワーセンター自体は以前からありましたが、2005年に道の駅に登録されました。

真狩村を一躍全国区に押し上げたのは、演歌歌手の細川たかしさんです。中学卒業後に村を離れていますが、今でも英雄と崇められています。


第5チェックポイント「ニセコビュープラザ」

晴れていれば羊蹄山がきれいに見える道の駅ですが、今日は吹雪で何も見えません。この道の駅では販売に力を入れています。クラフトビール、ワイン、日本酒など、酒屋も裸足で逃げ出すほど、多種多様な酒類を取り揃え、乳製品や肉類などアテになりそうな食品も多数用意しています。

世界的リゾートのイメージが強いニセコですが、もとは普通の農村です。ニセコビュープラザでは、ニセコ産のさまざまな農作物が格安で販売されています。買い物に来たお客さんから「すごーい、スーパーより新鮮で安い」という声が聞かれました。


妖しい店でランチタイム

そろそろランチタイムです。お腹を空かせながら走っていたところ、JR昆布駅近くに不思議な店を発見。思わずUターンして営業の有無を確かめました。

半分閉じたシャッターをくぐると、カオスな世界が広がっていました。めったに来ない一見さんに店主は、「隠れて営業しています」の一言を放ちます。きっと久しぶりなら「ご無沙汰」と言って迎えてくれるでしょう。

この建物は、かつての農協で事務所と売店を兼ねていたそうです。羊蹄山麓の農協が合併し、売却されていた建物を、店主の及川さんが落札。改装してアパートにするなどを経て、地域の高齢者の集い場として飲食店と、リサイクルショップをオープンしました。

メニューは、パスタ、うどん、そばという構成。及川さんが自ら山で採ってきたという天然きのこ入りそばをいただきました。4、5種類のきのこがたっぷりと入り、いい出汁が出ています。落葉きのこは塩抜きし忘れたそうで、ちょっぴり塩分多めなのもご愛敬。美味しく頂きました。


第6チェックポイント「らんこし・ふるさとの丘」

今回、あまり風景写真が出てきませんが、ニセコに入ってからホワイトアウトが続き、目の前に画用紙をかざされたような状況でした。らんこし・ふるさとの丘の駐車場にも10㎝ほど雪が積もっています。

オリジナル巾着に入った蘭越産のゆめぴりかが、30%オフで売られていました。巾着のサイズが、道の駅スタンプブックを入れるのにちょうどいいので購入しましたが、どうやら肝心のスタンプブックをニセコの道の駅に忘れてきたようです。仕方がないので、この巾着にピンズを飾ることにします。


第7チェックポイント「くろまつない」

「道の駅くろまつない」は、フランス語で緑の屋根の意味を持つ「toit vertⅡ」と名付けられています。

館内では、道産小麦を使った焼きたてのピザや、パンが販売されています。黒松内の基幹産業は農業が中心です。観光資源は北限のブナ原生林と地味ながら、「道の駅 くろまつない」には年間30万人も訪れています。町にとって道の駅は貴重な就労場所として機能しているようです。


本日最後のチェックポイント「よってけ!島牧」

閉館1時間前の16時に到着しました。吹雪の夕刻に訪れる人はなく、入り口に積もった雪に足跡は一つも付いていません。内陸部の道の駅では米や野菜などを販売していましたが、ここは日本海側らしく海産物の他に釣り具も販売しています。

何故かオリジナル・アパレルも豊富。味のあるデザインは、地元の小学生(当時)「しょうちゃん」によるものです。自主的にグッズ化していたTシャツなどが村内で評判になり、販売を開始しました。これはレアですね。


ゾウも湯治に来た秘湯「宮内温泉」

本日の宿泊は、島牧村の山間の一軒宿「宮内(ぐうない)温泉」です。江戸後期にクマを仕留め損ねた猟師が泊川上流に分け入ったところ、滝つぼに入って傷を癒しているのを発見したのが始まりと言われています。安政元年にアイヌ語のクウナイ・ユウナイ(湯の川)から転じて「宮内(ぐうない)温泉」と呼ばれるようになりました。

※諸説あります

宮内温泉は、ゾウが湯治に訪れた名湯として知られています。1971(昭和46)年11月に、かつて旭山動物園で展示されていたゾウの花子が、足の病を治すためにやってきました。

村人は花子を歓迎し、宮内温泉に浴槽付きの「花子のおやど」という小屋を建てて長期に渡って面倒を見たそうです。

湯治開始から4年後、花子は宮内温泉を離れ、本州を旅して回ったのちに、飼い主の信田氏と一緒にパラグアイに移住して一生を終えたそうです。

宮内温泉の泉質は、ナトリウム・炭酸水素塩・硫酸塩泉の源泉かけ流しです。露天風呂は1997(平成9)年に増設されました。極上の湯に浸かっていると、遠くからシカの鳴き声が聞こえ、ちらつく小雪の合間から月や星が現れました。


夕食はお部屋で地元の食材をふんだんに使った美味しい料理が味わえます。気になる3品を紹介します。

まずは昔懐かしい「ルイベ」です。北欧産のトラウトサーモンが輸入されるようになり、サーモンの刺身が一般的になりましたが、ルイベはサケやマスを冷凍状態にして食べるアイヌ由来の郷土料理です。とてもアッサリ。ご飯が進みます。

「たこしゃぶ」は、タコに軽くお湯をくぐらせてタレでいただきます。衝撃的に柔らかく絶妙な歯ごたえと甘みが口いっぱいにひろがり、やはりご飯が進みます。

ラスボスは巨大なホッケです。スーパ―では売っていない大きさです。ご飯がカラになったので、ビールを片手にいただきました。

ぐっすりと眠った朝は朝風呂で目覚めます。「もう一泊したいなぁ」と、後ろ髪を引かれながら帰り支度を始めました。若女将に見送られて出発。

本日は日本海側を中心に、最終チェックポイントの赤井川を目指します。海と山に阻まれて天気が変わりやすいルートなので、完全制覇を諦める勇気も必要です。


第9チェックポイント「みなとま~れ寿都」

2008年4月26日開業と比較的新しく、都会的でシャレオツ。窓から停泊する船を眺めていると、横浜元町にいる感覚に陥りました(そんなバカな!)。

宮内温泉で朝食を摂らなかった、名物の「寿都ホッケめし」を食べたかったから。寿都産ホッケの蒲焼きをアツアツの鉄板ごはんの上にのせた、2011年登場の新ご当地グルメです。好みで 甘辛のタレをかけていただきます。地元で揚がったタコの刺身や小鉢もついていて大満足です。

寿都は「だし風」という局地的な風が吹き、全国でも有数の強風が吹きます。漁師たちは船が難破したり、海が時化て沖止めを強いられたりと悩まされていました。厄介なだし風を有効活用するため、全国の自治体で初めて風力発電施設が設置されました。風車が立ち並ぶ圧巻の風景に、自然と人との調和を感じました。


第10チェックポイント「シェルプラザ・港」

蘭越町は、後志エリアで複数の道の駅を有する唯一の町です。規模は小さいですが、農作物と海産物の両方がバランスよく販売されています。

隣接する「貝の館」に立ち寄ってみました。世界に生息する海産・陸産貝類、北海道のアンモナイトなどの貝類化石を展示している貝類専門博物館です。この施設を詳しく紹介するとキリがないので、別の機会に掘り下げます。

最大の見どころは、2016年に新種として記載されたクリオネの仲間「ダルマハダカカメガイ」の展示です。同館の館長がオホーツク海で採取した網に混じっていたそうです。それほど珍しいわけではありませんが、コメ粒ほどの大きさのため見逃されていたようです。海洋生物が好きな人は一見の価値ありです。


第11チェックポイント「いわない」

かつて賑わいを見せていたゆるキャラも、ブームの終焉とともに姿を消してしまいました。しかし、岩内の「たら丸」は今も現役。売店にはぬいぐるみやステーショナリー、食品に至るまで、幅広くグッズを展開しています。

岩内町民の「たら丸愛」を痛感したのは、ゴミ収集車のデザインです。素晴らしいラッピングに魅せられて、思わず追いかけて写真を撮ってしまいました。


岩内の老舗食堂で体を暖める

この先の積丹半島に飲食店は少ないので、岩内でランチを済ませることにしました。強風で靡いている「大浜食堂」の暖簾をくぐりました。冬季限定で「鍋焼きラーメン」という攻めたメニューが登場します。まさに凍てつく日にピッタリです。

店内は狭く、テーブルが二卓と壁側を向いているカウンター席という不思議な構成です。クローズされた厨房で調理され、小窓から料理が出てくる謎のシステムです。

運ばれてきた鍋焼きラーメンは、豚肉、えび、たまご、ネギ、ちくわ、蒲鉾、シイタケ、麩など、把握不能なくらい具沢山。細麺ながら熱々なスープに負けない絶妙な茹で加減で、体がポカポカになりました。


第12チェックポイント「オスコイ!かもえない」

オスコイ!かもえないは、2004(平成16)年9月の台風18号の高波の被害を受けて長らくの間閉鎖していましたが、場所を移動し施設を建て替えて2010年4月24日から営業を再開しました。

そんな状況からも分かる通り、神恵内はデンジャラスクイーンと呼ばれた北斗晶以上にデンジャラス。先ほどから♪ぶっ飛ばす、デンジャラス、俺ジャイアンとばかりに、恐怖を覚える暴風雪が続いています。

次の余市へは、積丹半島を進むか当丸峠でショートカットするルートがベストですが、インフォメーションの女性は「この天候では走行不能になる危険がある」と忠告します。「岩内に戻って内陸の稲穂峠を経由するのが得策」とアドバイスを受けて、道を引き返しました。


第13チェックポイント「スペース・アップルよいち」

余市町出身の宇宙飛行士・毛利 衛 さんの偉業を記念して、余市宇宙記念館が併設されています。夏は観光客で賑わう道の駅も、冬期は多くの観光施設が閉鎖しているため閑散としています。小さな売店でピンズをゲットし、足早に立ち去りました。


ファイナルチェックポイント「あかいがわ」

暗闇の中に灯りが現れ、とうとう「道の駅あかいがわ」に到着しました。館内に入ると赤井川のキャラクターあかりんが、「コングラチュレーション」と迎えてくれました。自分の頭の中だけに鳴り響くファンファーレ。まるでアメリカ横断ウルトラクイズで優勝したような達成感です。

最後のピンズを巾着袋に差し込み、クリスマスツリーに飾りました。店員さんが遠巻きに見ていますが、知ったこっちゃありません。走行距離約500㎞、全14チェックポイント。旅の思い出を胸に秘め、電飾に輝く戦利品を閉館まで眺めました。

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