予約困難なお宿
「いわない温泉 髙島旅館」で過ごす晩秋の旅

「いわない温泉 髙島旅館」は、予約が困難な人気の宿です。「私たちは旅館であり、料理屋です」をキャッチコピーに掲げ、地元の新鮮な素材を一番おいしい状態で提供しています。

今回は原子力文化財団(JAERO)の協力を得て、温泉と料理を求めて、晩秋の岩内を旅しました。

岩内町は日本海に面した港町です。札幌から車で約2時間、運河で有名な小樽市や、ウイスキー蒸溜所がある余市町を超えて、さらに西へ進みます。

夕日を背に奇岩を見つめる岩内町のマスコットキャラ「たら丸」のカントリーサインが迎えてくれたら市街地はもうすぐです。岩内には楽しいスポットが盛りだくさん。宿にチェックインするまで街を散策しましょう。

カネタ吉田蒲鉾店

住所:岩内郡岩内町字御崎1番地5
電話番号:0135-62-0245
営業時間:9:00〜17:00 日曜・9:00〜16:00
定休日:水曜日

伝統の味に新しい風を吹き込む 「カネタ吉田蒲鉾店」

1899年創業の「カネタ吉田蒲鉾店」で人気を集めているのが、「かまぼこバーガー」です。道産小麦と岩内海洋深層水を使用したバンズに、カマンベール入りチーズが入ったかまぼこフライ「魚ろっけ」をサンド。パンズのふんわりとフライのサクッとした食感が同時に味わえます。タルタルソースとの相性もぴったりで、かまぼこのおいしさに驚きました。金土日・祝日の限定販売で、予約も受け付けています。



なぜ岩内に戸籍があるのか 「夏目漱石在籍地の碑」

カネタ吉田蒲鉾店のすぐそばに、「夏目漱石在籍地の碑」を見つけました。日本を代表する明治の文豪「夏目漱石」は、22年間もこの地に戸籍だけを移していました。しかし居住はおろか一度も岩内を訪れたことがありません。徴兵逃れとの説もありますが、漱石も事情を明らかにしておらず、岩内のミステリーとされています。

札幌のビールの歴史はここから始まる「野生ホップ発見の碑」

1871年にアメリカ人開拓使アンチセルが、岩内で野生のホップを発見したことが、札幌のビール醸造のきっかけと言われています。岩内町郷土館の前庭には記念碑が建ち、サッポロビール園のオブジェと同様に「麦とホップを製すればビイルという酒になる」という言葉が掲げられています。

住所:岩内郡岩内町字万代13-1

電話番号:0135-62-0503
営業時間:月~土曜日8:30~19:00 日曜・祝日9:00~16:00
定休日:4月~10月 不定休 11月~3月 毎週水曜日

帆布バッグをリーズナブルな価格で販売 「村本テント」

岩内でお土産を買うなら「村本テント」がおススメです。1911年に創業した馬具屋がはじまりで、時代とともにテント屋へと形をかえながら、現在は山菜リュックや帆布バッグの製造・販売も行っています。レトロ調の店内にディスプレイされた商品は、デザイン豊富で色合いもカラフル。工場直売でリーズナブルに買える価格も魅力的です。

「いわない温泉 髙島旅館」にチェックイン

「いわない温泉 髙島旅館」のチェックインは15時から。晩秋の旅は観光シーズンから外れているので容易に予約できると思っていましたが、土日祝日は翌年まで予約でいっぱい。平日も空室を見つけるのが至難の業です。館内に入ると、スタッフが笑顔で迎えてくれました。

髙島旅館は、隣の島牧村で初代当主が旅館を創業したのが始まりです。現在の4代目当主である髙島将人さんの父親が、企業誘致に応える形で岩内町に進出、1998年に現在の場所で、新たに髙島旅館を開業しました。

「跡継ぎになることは確定事項でしたが、なかなかその気になれず、さまざまな仕事を経験しました」と将人さんは言います。旅館を継ぐ決心を固めたのは27歳の時。専門学校で観光学を学んだあと、兵庫県の有馬温泉で修行したのちに、父親から経営権を買い取って4代目当主になりました。

スタッフが誇りを持って働ける環境がよいサービスにつながる

髙島旅館の予約が取りにくいと言われる理由は3つあります。まずは客室13部屋とキャパシティが少ないこと。そして電話予約しか受け付けていないことです。将人さんはその理由を次のように話します。
お客様にとってネット予約は便利だと思いますが、旅行会社を仲介すると手数料などを支払わなくてはなりません。幸いなことに現在は自分たちのSNSだけで集客ができているので、広告などにお金をかけずに済んでいます。カード決済も手数料がかかるので、支払いも現金のみです。

将人さんは「広告費や手数料にかかる費用を、お客様や従業員に還元したい」と考えています。スタッフが誇りを持って働ける環境であれば、お客様へのサービスも向上します。それを裏付けるように、人手不足にあえぐ宿泊業界において、「髙島旅館で働きたい」と希望する人が後を絶たないそうです。キビキビと接客する姿に、この宿で働いている誇りを感じました。

「旅館であり料理屋です」と豪語する自慢の料理

予約が取りにくい最大の理由は、新鮮魚介の食事に尽きるでしょう。岩内の前浜を中心に、全道から選りすぐった食材がテーブルに並んでいます。今回選んだのは「特選プラン」。ヒラメの活造り、浜鍋、もんけの塩焼き、茹で蟹(6月~8月は雲丹)、鮑のお刺身、鮑の肝お刺身3点盛(海老、帆立、北寄貝)、ナマコ酢、魚介の炭火焼き(鮑、シイタケ、つぶ貝)、道産米、地元名産らいでんメロンの11品です。いずれも素材の味を活かすため、極力手を加えずにシンプルな調理が行われています。

漁師をも唸らせる絶品ヒラメの活造り

数々の料理の中で、特に驚いたのが「ヒラメの活造り」です。しっかりと血抜きされていて生臭さは一切ありません。その味は会合で利用していた漁師さんの舌をも唸らせる程。めったに味わえない逸品です。

秋から冬にかけてアワビが旬で、刺身は噛みしめるほどに口の中に磯の香りが広がります。おいしいなぁ。最高だなぁ。

七輪の上のアワビは、身をくねらせて、部屋中にいい匂いを漂わせています。「とんだけお腹に入るの?」と思うくらい、次々とたいらげてしまいました。

焼き魚はメバルの一種で、地元では「もんけ」と呼ばれています。市場に出回ることはほとんどなく、淡白な味が塩とよく合い、岩内らしい味覚です。すべての調理に油と砂糖は使わないというこだわりをもち、栄養価にも配慮した身体に優しい料理の数々。おいしいものを食べている時はシアワセしか感じることができませんね。 

すべすべ効果がある上質な温泉を「いただきます」

お風呂に入ることを「お風呂をいただく」という言い方をします。蛇口をひねればお湯が出る時代とは違い、昔はお風呂に入るためには薪集めから始まり、薪割り、風呂掃除、水汲み、湯沸しなど手数がかかりました。それに敬意を示して「いただく」というようになったそうです。髙島旅館の温泉も「いただく」という言葉がピッタリ。泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉。内風呂の浴槽は御影石とヒバ、壁は杉で作られており、よい香りが漂っています。

露天風呂の浴槽はヒノキで、四季折々の自然を感じながら温泉に浸かれます。特に寒い夜は暖かさが身に沁みてきます。内湯は翌日9時30分まで入浴できますが、露天風呂とサウナは22時から翌日6時30分まで利用できませんので注意してください。

大自然の中で目覚め、充実した朝を迎える

朝早くに、激しく壁を叩く音で飛び起きました。時間を確認すると6時30分。角部屋なので、音がする方向に部屋はありません。「工事でも始まったのか」と思い窓を開くと、一羽の野鳥が飛び立っていきました。どうやらヤマゲラやアカゲラなどのキツツキが、木造の宿を突いていたようです。このような経験ができるのも自然の中の宿の醍醐味です。

朝食も品数が豊富。近隣農場の有精卵、周辺の町村で生産された納豆や牛乳など、地元の食材がふんだんに使われています。中でもイカ刺しは、早朝から市場に出向いて買い付けているそうです。手間暇惜しまない真摯な姿勢が人気につながっていると感じました。

いわない温泉 髙島旅館

住所:岩内郡岩内町野束505
電話番号:0135-61-2222

岩内は、また来たくなる町

髙島旅館の皆さんに見送られた後、街を見下ろす展望台に立ち寄りました。街はそれほど広くありませんが、素敵なスポットがコンパクトにまとまっていました。おいしい食べ物、暖かい温泉、キツツキの目覚まし。岩内は何度も足を運びたい街です。今度は違う季節に訪れて、晩秋と異なる魅力に触れてみたいです。

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