川と空から羊蹄山を臨む! アウトドア三昧の夏

北海道の大自然のすばらしさを感じるためには、その懐に抱かれるのが一番。そのためにはさまざまなアクティビティに参加して、人が踏み入れないような場所を訪れるのが最適です。

今回は原子力文化財団(JAERO)の協力を得て、川と空から雄大な羊蹄山を堪能しました。

アウトドア体験にふさわしく、今回の旅もバイクで移動します。愛車「カワサキ・KLX250」は車重約100㎏と軽量で、燃費はリッター30~35㎞と低燃費。走る道を選ばないオールラウンダーです。


「後志利別川ラフティング」で夏の水遊び

朝9時に、グランヒラフ近くにある「NAC」に到着しました。倶知安・ニセコエリアで、さまざまなアクティビティが体験できるアウトドアの拠点です。今回はラフティングに挑戦しますよ。

ラフティングは、6~8人乗りのゴムボートに乗り、みんなで力を合わせてパドルを使って川を下っていくアウトドア・アクティビティです。

簡単な説明を受けた後、6人のグループに分けられました。初めて出会った人たちですが、これから力を合わせて川を下るクルーです。

ウエットスーツを着用し、ライフジャケットを身に着け、最後にパドルを渡されます。これは仲間になる儀式。会ったばかりの人たちにもかかわらず親近感が湧いてきました。

バスに乗って15分ほど移動します。雪解け水が多い4~5月は流れが激しく、夏は比較的緩やかで、季節によってラフティングコースも分けられています。

「パドルを合わせろ」力を合わせて激流を下れ!
まずは全員で力を合わせて後志利別川(しりべしとしべつがわ)の河川にボートを運びます。足元が悪いので慎重に。この川は日本海に注ぐ一級河川で、国土交通省が公表している一級河川の水質現況において、1987年から2012年まで通算14回も「水質が最も良好な河川」となった清らかな水です。

ラフティングの楽しさは急流だけではありません。ほかのボートが突然急接近してきました。何が始まるかと静観していると...

「攻撃開始!」
何の恨みがないにもかかわらず、水かけ合戦が始まりました。ミネラルたっぷりな水が、口や目に注ぎ込まれます。

道を歩いているときに水をかけられようモノなら「てやんでぇ、ばーろー、ちきしょう」と怒り出す人が多いのに、ここではみんな笑顔。これぞ自然のマジックです。

それほど水は冷たくないので川に飛び込んでもOK。札幌から来た親子が遊泳していました。はしゃぐ両親と、それに付き合わされる娘さんのゲンナリした顔が忘れられません。

ボートは急流に突入。ロープをつかんで波をやり過ごします。そこを抜けた後は高々にパドルを上げて成功を祝います。クルーの絆が生まれていく感じが最高!

ラストに羊蹄山が姿を現しました、水面から見る光景は人工的なものが一切なく雄大。楽しい時間がもうすぐ終わってしまうことに寂しさを感じました。


8月の空に秋の気配

北海道の夏は短く「お盆を過ぎればすぐに秋」と言われています。特に2022年は冷夏で、30度を超える日は、ほとんどありませんでした。まだ8月だというのに雲も秋の様相を示しています。


老舗の味を若手が継承「茶房ヌプリ」

本日のランチは、JR函館本線・ニセコ駅内の「茶房ヌプリ」でカレーをいただきます。長年営業していたオーナーが2022年3月に引退し、若い世代が味を引き継いでいます。

ヌプリのカレーは、じっくりと野菜を煮込んだデミグラスソースがウリ。先代から「この味だけは再現してほしい」と言われた名物メニューです。

作り手が変わったことなど全く感じさせないクオリティを保っています。後継者がいずに味が途絶えてしまうことが多い昨今において、ヌプリとカレーが引き継がれたことは、とても嬉しいですね。


ニセコ駅周辺には蒸気機関車が展示されています。ロープの上でトンボが羽を休めていました。秋は足早に近づいているようです。


「チーズ愛」が活かされたソフトクリーム
ニセコ界隈は、乳牛を飼育する酪農地帯。新鮮な生乳を味わいたいなら、ソフトクリーム(これは和製英語。正式にはSoft Serve Ice cream)がおすすめです。「ニセコチーズ工房」のカマンベールソフト(300円)は、思わずに二個食いする美味さ。


ウソでないって~!


真狩村を有名にした演歌の大御所
羊蹄山のふもとの「真狩村」は、細川たかしの出身地。私も仕事で4年半住んだことがあり、ご本人にもお会いしました。テレビのまんまのしゃべりと歌で「一流の芸能人だな」と感心しました。

村内の公園には羊蹄山をバックに、熱唱する銅像が建てられています。村に住んでいたのは15歳までだそうですが、デビュー曲「心のこり」をザ・ベストテンにランクインさせるために、知人はたくさんのリクエストはがきを送っていたそうです。


イロモノではありません。実はスゴイ施術師です

真狩村の隣の留寿都村にも、著名人の銅像が建てられています。浪越徳治郎氏は指圧の第一人者で、一時期留寿都村に在住しました。道の駅「ルスツ230」のトイレ近くに、ひっそりと銅像が佇んでいます。

1980年代に放送された「天才たけしの元気が出るテレビ」でエキセントリックに紹介されましたが、本来はマリリン・モンローも施術したことがある指圧名人です。「イエーイ」とか言ってイキっている老人ではありませんので敬意を表してくださいね。


学校に泊まれるゲストハウス「雪月花廊」
本日のお宿は、喜茂別町・双葉地区にある「雪月花廊」です。廃校になった小学校を借りて、カフェ・ゲストハウス・ライダーハウス・キャンプ場など、多角的な営業を行っています。

オーナーは「かかさん」と呼ばれ親しまれる今関舞子さん。「人が集まれる場所を作りたい」と、物件を探していた夫・安雄さんのもとに、喜茂別町が3月で廃校になった旧二葉小学校を活用してくれる人を探しているという情報が耳に入ります。見学に来てみると、安雄さんは約90mの板張り廊下に魅せられ「ここだ」と即決したそうです。

夫婦で力を合わせて2006年7月に廃校になった喜茂別小学校で「雪月花廊」をオープンしましたが、その11年後に安雄さんが他界。現在は子ども3人と亡き夫の夢を引き継いでいます。


教室はゲストハウスの客室に生まれ変わりました。正面の大きな板は黒板で、子どもたちに様々なことを教えていたのでしょうね。

体育館もそのまま残されています。ステージでライブを行うための音響機器があるため、ボール遊びは禁止されています。節度を守って楽しんでください。

夕飯は舞子さんの手作り。宿泊客と一緒にオーナーファミリーも食事を共にします。一体感が心地よく、リピートする人が多いのも納得です。


雲一つない青空に迎えられる
2日目は雲一つない晴天。「大空を飛ぶ」という人生で初めての体験をするには、最高のシチュエーションです。

オープンしていればラッキー「畑の食堂 あべ屋」

集合時間まで時間があるので、雪月花廊の隣にある「畑の食堂 あべ屋」に立ち寄りました。このお店は農業を営む安部良一さんが、野菜のおいしさを伝えるためにオープンしたお店です。

「農業が忙しい」「原料が不足」などクローズしていることが多く、巷では「開店していれば奇跡」と呼ばれています。

奇跡を引き寄せちゃいましたよ。羊蹄山を見ながらメロンスムージーを頂きました。果肉によって「赤」と「青」があり、それぞれ味わいが異なるそうです。私が飲んだ「赤」は、4種類のメロンをブレンド。爽やかな飲み口で、すがすがしい朝にピッタリな飲み物でした。


パラグライダーで羊蹄山上空を SKY-HI

「畑の食堂 あべ屋」を後にして、約20分ほど走って「ニセコパラグライディング」に到着。

「♪空を自由に飛びたいな、ハイ、パラグライダー」という感じで空をとんじゃいます。

「飛びます、飛びます」と言ったのは坂上二郎さん。「♪飛んで、飛んで、飛んで」と歌っていたのは円広志。グライダーだけに浮き足立っています。

最初に飛び出しと着地の説明を受けます。あっけないくらいアッサリで「これで大丈夫か」と思ってしまうほど。「こんな感じです」と1分ほど動画を見て終了しました。

テイクオフする尻別岳までクルマで移動します。ルスツでは、約25年前くらいからパラグライディング体験が始まったそうです。「オーナーの高齢化などによって他の人に事業が継承され、私は3年前に引き継ぎました」と、ニセコパラグライディング代表の西泉さんは言います。

ダートを抜けて、尻別岳山頂に到着。ここからの展望も最高ですが、さらに上空を目指します。しっかりとハーネスを取り付けてもらって準備終了。インストラクターとのタンデムフライトなので心配はありません。風の状況を確認して...GO!


大空に飛び出す!!
何の抵抗もなく、風にさらわれるように身体が浮き上がりました。上空には強い風が吹いていて、西泉さんは最適な風を拾いながら高度を変えたり回旋しています。

標高1,898mの羊蹄山よりも高い高度まで上昇しました。「ここ数週間で一番のコンデションです。トンビになったような気分が味わえますよ」と西泉さん。

安定しているので恐怖心は一切ありません。

「楽しい----!!!!」

アングルのせいか太って見えるなぁ。自分が六角精児に見えてきた。ダイエットの神を降臨させなきゃですね。いっそ恋でもしちゃいますかね~。

結ばれるなら本仮屋ユイカちゃんがいいな。


そんな希望はさておき、パラグライダーは身長110cm以上185cm以下、体重30kg~90kgが目安だそうです。

降下し始めたので「これで終わりか」と思っていると、西泉さんが風をキャッチしてくれて上昇し始めました。「二人の体重を考えると、よく上昇させられた。自分を褒めてあげたい」と、有森裕子ばりの発言が飛び出すほど完成度の高い技を駆使したそうです。


手前に羊蹄山麓、彼方に洞爺湖や太平洋、渡島半島の後方には駒ヶ岳も見えています。これだけスッキリ見える日は少ないそう。パラグライダーとともにバイブスアゲアゲです。ところでバイブスってナニ?

気になる料金は10分のフライトで14,000円。人生の思い出に残る10分間などそうはないので、体験する価値アリだと思います。


さらに高く上昇。羊蹄山が足元にあります。高度3,000mくらいありそう。ニセコ山系の後ろには、日本海も見渡せます。最近はドローンが人気ですが、肉眼で見る光景は別モノ。実体験に勝る感動はありません!


楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいます。少しずつ高度を下げていき、終わりに向かって時が進みます。やがて地面が近づき、ちょっとコケながら原っぱに着地しました。



旅の終わりはいつも切ない

今回は、アウトドア・アクティビティを満喫しました。家路に向かう姿が長い影となってアスファルトに映しだされ「もう終わってしまうのか」と言う寂しさを感じさせます。旅で出会った人たちのことを思い出しながら、羊蹄山を背に走り出しました。

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