北海道・幌加温泉「鹿の谷」
2020年01月06日
幌加温泉は大雪山に抱かれた秘湯の一軒宿です。耳の遠いおばあさんが経営。湯治のため自炊オンリーです。常連さんが電話応対や除雪、風呂の掃除までやっています。
場所は上士幌町幌加。「いったいどこだよ!」と多くの人が怒鳴りそうな大雪の山奥にあります。「ホロカ温泉」と「鹿の谷」の二軒がありましたが、現在は一軒宿になっています。
宿までは坂道ですが、温泉が流れて天然のロードヒーティングになっています。宿の名前のとおり、たくさんのエゾシカが迎えてくれました。
開業は昭和21年で、最初は営林署の保養所か何かだったとか。一時は食事も提供していたそうですが、現在はオーナーがご高齢のため自炊オンリーです。一番近くの集落は糠平ですが、土産物屋兼雑貨屋兼が一軒だけなので、大きな街で買い物をして来ないと飯抜き確定です。
なんと露天風呂にエゾシカが出現しました。こんなロケーションは日本中探してもそうあるものではありません。温泉の熱で地面が暖かく、たくさんの鹿が暖を取っています。常連さんも驚く珍しい光景だそうです。
周囲にはまったく人が住んでいないので、夜に露天風呂に入ると驚くほど月明かりがまぶしくて、どこか違う惑星にいるような気分になりました。風の音と川が流れる音、そして時々聞こえる鹿の声など、自然が発する音だけが聞こえていました。
いつまでこの宿が存在するか分かりません。
「いつか」ではなく「いますぐ」に訪れてほしい温泉です。