【閉店】北海道・留萌駅「ニシン蕎麦」

2021年05月11日

駅のB級グルメと言えば「立ち食いソバ」ですが、駅蕎麦の領域を凌駕する逸品が留萌本線・留萌駅にあります。そば通も唸らせる...かどうかわかりませんが、名物のニシン蕎麦を食してきました。

大正時代から昭和29年まで日本海沿岸の街はニシン漁で栄えていました。宗谷本線・幌延から留萌を結ぶ「羽幌線」の開通に対し、「列車が通ることでニシン漁に影響を及ぼす」と、沿線から反対意見が出されたほど。しかし昭和30年に入ると漁獲量は一気に減り、ニシン漁栄えし頃は昔の夢となってしまいました。ニシンの減少の理由が乱獲によることは明らか。因果応報ですね。

留萌駅の 「ニシン蕎麦」は、当時の面影を残す逸品です。甘辛い身欠きニシンとカツオの出汁が効いたツユが程よく調和し、それぞれの旨味を引き出しています。ちなみに身欠きとは、ニシンの腹側の部分を切り落としていたさばき方に由来し、「身を欠く=身欠き」となったそうです。

北前船により北海道の海産物は関東に送られていたことから、ニシン蕎麦は京都の郷土料理(?!)になっていますが、関西の薄口に対し、留萌の蕎麦は濃い口と個性が異なっています。

留萌駅の一日の乗降客は10人程度ですが、この蕎麦を目当てに車などで訪れる人も多いようです。そうでないと経営が成り立たないですね。 

JR北海道と沿線自治体は留萌本線の廃止を合意しているので、留萌駅と共に駅蕎麦が消滅することは確実です。もし店舗での販売が継続されたとしても、それは駅蕎麦ではありません。ひなびた駅の情緒の中でニシン蕎麦を味わいたいなら、早めに訪れることをお勧めします。

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